2026-01-01から1年間の記事一覧
1. 雨ざらしでシミになったスクーターのサドルを スプレー缶で塗り替えたこと キャメルの色にして良かった、色ムラが目立たない 2. いつかは読みたいと思って本棚に買い置きしていた 集英社ギャラリー・世界の文学を手に取って読み始めたこと やはり 思った…
1 「おいしいね」と言えたこと 2 枯れかけたバラに つぼみがついたこと 3 「そういう言い方はイイね」と言われたこと 4 ご近所の方と 立ち話ができたこと 5 やっと等身大の自分になったと思えたこと 背伸びしないと誰にも相手にされないと思っていた 本当の…
壁紙にみたビッグベン 知らないけれど 郷愁という言葉がよく似合う ロンドンは夢よりも遠い場所にある ふいに壁をノックしてみた すると大勢の旅行者が その時計台を写している みなさん、ありがとう、ありがとう、 でも私は知っている 私が住んでる街の中に…
むずかしい人 質問したら返事がくるものだと思う人 質問されても返事をしたくないと思う人 いつも二人はちぐはぐで仲が悪いわけではないけれど仲が良いとはとても言えない そんな二人が同じ道を歩くとは むずかしい人 それも私
こんなものを作りました そっと、おいておきます。
いつかきっとと願っていたことは もう決して叶わないのでしょう 未来ばかり夢見ていた日は 愚かな思い出へと変わっていくのでしょう 生の限界が見えたとき 世界は少しずつ見えなくなるのでしょう それでもまた 何かが始まると思いたい願いたい祈りたい
GWが過ぎるころになると 店先にカーネーションの鉢植えが並びはじめる テレビでは 「思い出の手料理は何でしたか」 英会話レッスンでは 「寝る前に絵本を読んでくれましたか」 そんな問いかけに触れるたび 懐かしさより先に 子どもの瞳を落胆させた記憶ばか…
手をつないだ人のことは よく覚えている 最初は母 柔らかな指が 私の手を包んだ その次は恋人 またいつかと 桜の下で 手をつないだ人のことは よく覚えている 離した記憶がないから いまも そのまま残っている
ゴールデンウイークの予定はありますか 不意な問いかけに 目を開けた 鏡越しに スタイリストの女性が 仕上げにかかっている 雑誌は春の装い特集 誰もが浮足立って見える そんな季節 私は答えずに どこかへ行かれますか、と 問いかけ返す 躊躇いもなく 彼女は…
午前三時 携帯電話の画面にふれる また耳元で なじみのある声が聞こえる その話題は ルッキズムについて 笑いのない 軽やかな語り口に 私の意識は まいた種のことへ さまよいはじめる 朝 種から 小さな緑が 芽をだしていた
考え事をするとき 胸の奥に 小さな緊張が生まれる 恐れ、というほどではない けれど 見ないふりもできない それは ただの言いわけかもしれない 一生懸命になることから 少しだけ 身を引くための けれど…… 時間を忘れるほどの没頭は やわらかく 現実を遠ざけ…
蔵王連山が見渡せる 桜並木のクイズ 川面に映る 満開の桜 けれど 蔵王という名前に 景色が隠れる 蔵王へ スキーに行きたいねと 彼は言った まぶたに浮かぶ 雪景色
昨日まで 木の小枝が 桃色に色づいてきたねと 話していたのに 昼下がりの桜並木には 満開の桜と 人だかり 週末は雨 今日一日が 桜日和だった
面影が似ている人は、結構いる 開幕戦のあいだに チャンネルを変えて ニュースで、 沢田研二に似た 妙齢の夫人が インタビューを受けていた どれくらいの人が その面影に気づくだろう 物価が上がり 税収も上がるという話のあとで 面影が似ている人は 結構い…
『 桜の蕾 』 里美に久しぶりにLINEした。 町内の川土手に並ぶ桜のつぼみが、 ほんのり色づき始めていた。 ただ、それを伝えたかっただけだった。 特に用事があったわけではない。 春が近い、と誰かに言いたくなっただけだ。 送信して、スマートフォンを伏せ…
『止まらないエレベーター』 朝の百貨店は、まだ音が少ない。 開店して三十分。 屋上の駐車場から、エレベーターがゆっくり降りてくる。 真理子は四階で乗った。 手には、小さな紙袋。 中には、赤いアネモネの苗。 今日は、母のところへ行く日だった。 エレ…
『返されなかった図書カード』 図書館の窓は、午後三時になると、少しだけ黄金色になる。 古い市立図書館の受付に座る真由子は、その色が好きだった。 本の背表紙が、いっせいにやわらかく見える時間だ。 カウンターの端に、一枚の図書カードが置かれていた…
『屋上駐車場』 目の前には、薄く霞んだ山々が連なって見える。 観光地でもない、地元スーパーの屋上駐車場から見える景色だ。 ハンドルに顎を乗せたまま、しばらく前方の景色を眺めていた。 3分くらいだろうか、 有名な山には名前がある。 絵葉書になり、…
『カーネーション』 部屋は静かだった。 目が覚めても、起きる理由は特にない。 一人暮らしになってから、時間は目覚ましよりも体の気分で決まる。 枕元の時計を見る。針は七時を過ぎているが、急ぐ用事はない。 それでも、なんとなく壁のカレンダーに目をや…