いつかきっとがもう間近

現のこと、夢のこと、

ムカデに座布団一枚

ムカデが、出た。百足というくらいだから、足が、ウヨウヨと黒く短く太い足が、いっぱい蠢いていた。常日頃の私は、ギョッとすると感情を押し殺して、もう死ぬ気になって頑張ってなんとかするはずなのだ。どうせ、誰も助けてくれない。私が頑張るしかないではないか!

 

それなのに、偶然というかなんというか、夫がちょうどすぐ側にいたものだから、甘えが出たのだろう。愚かな私は、迂闊にも夫に助けを求めてしまったのである。「ほらそこ、ムカデがいるわ。どうにかして」

 

ムカデは私の足元から植木鉢によじ登るところだった。ほら、そこ。ほら、あそこ。ほら、こっち。夫はいい人なのだ。本当に、いい人には違いないのだ。一生懸命、ムカデを捕まえようとしてくれた。

 

けれども、ムカデの方が一枚上手だった。足の本数を数えることができるくらい、大接近していたというのに、忍者のように消えてしまった。夫をアテにした私が馬鹿だった。早速、ムカデ駆除の散布薬を買いに走った。