いつかきっとがもう間近

現のこと、夢のこと、

開かずの間、開けずの間

昔、近所にキホちゃんという年下の天然パーマの女の子がいた。キホちゃんは鍵っ子だった。家に帰ってもお母さんお父さんもいないから、いつも家の前の片隅で、土につまらなそうに、尖った石で絵を描いていた。

 

ある日、よくわからないのだが、キホちゃんの家に一人でお呼ばれしたことがあった。やっぱりその時も狭い家の中、キホちゃんの他には誰もおらず、キホちゃんは薄いテーブル越しにお茶を出してくれた。

 

何もない畳の部屋、座布団が2枚、テーブルの対面に敷かれ、その一枚に私は、かしこまって座っていた。何かとても厳かな儀式のような雰囲気がしていた。私は黙ってキホちゃんの動きを見ていた。見つめていた。凝視していた。

 

「あ!」

ガラスの破片でも指に突き刺さった時のような、鋭く小さな叫び声がキホちゃんの口から発せられた。

キホちゃんの、ガラスに刺さって血が出ているはずの細い指が、何事もなかったかのように畳を這うようにして何かをつまんだ。それは、1本の髪の毛だった。

 

「何もなかったはずなのに……」

キホちゃんは明らかに、私の髪の毛だと非難するかのように、小さなため息をついた。それから、どうやってキホちゃんの家を出たのかも記憶にない。ただ、わかっていたことは、キホちゃんは二度と私を家に呼ばないということだけだった。

 

私が人間嫌いになったのは、もしかするとキホちゃんのせいかもしれない。