いつかきっとがもう間近

現のこと、夢のこと、

傘をさしていた

お題「レイングッズ」

若いっていいことよ。若さは素晴らしい。そんな言葉をなんども聞いたり言われたりしていたが、若かった頃はその良さも素晴らしさも、わからなかった。狭い殻の中に閉じこもって、自己満足と自嘲を繰り返していた。

 

そんな頃、傘をさしていた。一昨日から続く長雨に、傘は乾くまもなく開いては閉じ、閉じては開いた。水たまりを避けながら俯いて歩いていると、傘の柄を握る手の冷たさに、ふと気づいた。

 

傘を見上げてみると、生地が擦れて薄くなって穴があいていた。その穴から、一筋の雨雫が傘の柄を伝って、握り締めた親指と人差し指の環の溝に染み込んでいた。

 

次の日から、傘に穴が空いていることを意識しながら、傘をさした。その日が、若さと決別した日なのかも知れない。