いつかきっとがもう間近

現のこと、夢のこと、

雪の音

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お題「雪」

 夕方、家への帰り道、手袋をはめた指先に痺れるような冷たさが雪を予感させていた。深夜になって体の奥まで沈み込むような冷気が、窓ガラスから伝わってくる。きっと、外は雪。ベッドを抜け出して窓ガラスの結露を人差し指で拭う。家の前の道路は街灯に照らされ眩いほどの白色で、生まれたての雪の道には足跡もタイヤの跡もなにもない。数え切れない程の軽いため息をまた一つ、コトリとついて、私はベッドに戻る。そしてまどろむうちに夢か現か、雪の音が聞こえてくる。はるか遠い向こうから、私のところに続く雪の道を静かにゆっくり近づいてくる。そしてようやく雪を踏みしめるタイヤの音が、家の前で停る。

 

 窓ガラスに走りより、窓を開けようとした瞬間、目が覚める。何度同じ夢をみただろう。その度に落胆し失望し諦めた。それを何日も何年も何十年も繰り返し、私はとうとう雪の音が嫌いになった。また今年も冬がやってくる。